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STORY

ストーリー

3期連続赤字からの挑戦。
信頼と数字で切り拓いた、新工場への道。

物語のあらすじ

銀行から「助けてやってくれ」と紹介されたのは、売上は伸びながらも3期連続の営業赤字に苦しむ食品会社。豪快な3代目社長と、新卒2年目のコンサル出町の出会いから始まった二人三脚の挑戦。緊張の日々を越えて築いた信頼は、やがて大胆な経営判断へと繋がっていきます。2人の信頼と挑戦の物語を辿ります。

登場人物:

  1. 「いい会社なんだ。だから、助けてやってくれ。」
    —銀行の紹介から始まった、ふたりの船出

    • 出町

      初めてお会いしたのは2年前。銀行の担当者から“助けて欲しい会社がある”と紹介されて伺いました。当時は3期連続の営業赤字でしたよね。

    • 山本社長

      でも僕は、売上はのびていたので危機感が薄かった。それより「経営の相談相手」が欲しかったですね。会社を継いですぐ父が亡くなり、数字の読み方が分からなくて。そんな時に出町さんを紹介されました。

    • 出町

      第一印象は「勢いのある社長だな」と。同時に“品定め”されてるような鋭い眼光も覚えています(笑)

    • 山本社長

      「若いけど大丈夫か?」とは思ってたね(笑)。でも決算書を渡したら、すぐ経営診断を作ってきて。内容は難しくて正直わからなかったけど、本気で考えてくれるのは伝わった。

    • 出町

      課題は明確で「必ず良くなる」とご提案しましたが、説明しても、“はいはい”と進むので手応えは無くて(笑)。最後に「やりましょう!」と即答されて、驚きました。

    • 山本社長

      銀行からも「寄り添ってくれる」と聞いていたし、若くても任せてみようと思ったんです。

  2. “安さが誇り”だった社長が、値上げの決断へ。
    社長を変えたのは、出町の言葉だった。

    • 出町

      支援から半年で「値上げ」を実施され、単月黒字化も早かったですね。『安さ』を誇りにされていた中で、決断できた理由って何だったんですか?

    • 山本社長

      “お客さんに迷惑をかけたくない”という葛藤はありました。だから以前は、値段は極力変えず、原価や人件費を見直していて。でも出町さんに「商品の価値をちゃんと伝えて、理解を得られるなら、正当な対価をいただいていいんですよ。」と言われて、それが大きかったですね。

    • 出町

      そこからは早かったですよね。得意先が300社近くある中、毎月の面談で原価率や単価の資料が出てきて、“この順で上げましょう”と話すと、翌月には実行されている。衝撃的でした。

    • 山本社長

      社員みんなの協力のおかげです。新規獲得のための値下げも、“一年お付き合いしたら見直そう”と変わりました。一年間の中で、何度も顔を出して「どうですか?」と声をかけ、味や品質を追求し、お客様との距離を縮めていく。今では全員が実践しています。

    • 出町

      利益へのインパクトも大きかったですね。大きな課題なのに「もうクリアしちゃった。」って(笑)

  3. “最初は、信頼されていないと感じた”
    ―半年の対話を経て、芽生えた信頼。

    • 出町

      改善を進めながらも、最初の頃は空気がピリッとしていて、毎回緊張しました。契約は上司の安藤が信頼されていたからで、自分への信頼じゃないと感じていて。

    • 山本社長

      緊張してたの!?(笑)でも、確かに不安はありましたね!

    • 出町

      僕、財務コンサルは社長が初めてだったんですよ。社内レビューで方向性は正しいと分かっていても、伝え方とか進め方に対しての不安は常にありましたね。

    • 山本社長

      そうだったの!?まあ、それは言えんよね(笑)。でも困った時のレスポンスも早いし、毎月の面談で「この数字が、提案書のここに繋がっているんですよ」と説明された時は凄いなって。

    • 出町

      半年くらい経った時ですよね。改善計画の進捗をお伝えしながら、「実はこういう意図で、進めてきて…」とお伝えしたら、「提案の時点でそんなに見えてたの!?」と驚かれて、初めて信頼を感じました。

    • 山本社長

      新卒2年目とは知ってたけど、よく勉強してるなと。そうじゃなきゃ、これだけ話できない。その努力は信頼に値するよね。上司の安藤さんに連絡したいと思ったことも一度も無いですから。

  4. 「新工場立てるわ!」と社長が決断した日。
    融資に向けた奔走が始まる。

    • 出町

      値上げが一巡した頃、新工場の話になりましたね。未来に向けて理念やビジョンを考える中、“工場が手狭だ”という課題が出て。

    • 山本社長

      生産量が増えて在庫の置き場が無くなり、毎日作るしかないから社員も休みづらい。限界だと思っていたところに、良い土地が出て「ここだ!」と。

    • 出町

      ただ、銀行の評価は高くなかったはずです。支援から半年で黒字決算も出ていない中で、大型融資が必要でした。

    • 山本社長

      銀行には「もう契約するから!」と伝えて、一旦持ち帰ってもらい、時間を稼ぎました(笑)

    • 出町

      そこから数日で5か年計画を作りましたよね。単なる数字の並びではなく、“今期の獲得件数から、翌年はここまで増やせる”とか、“1社あたりの単価はいくら”とか、社長と一緒に細かく描いて。採用や給与UPまで盛り込むなど、明確な未来と根拠を持った計画でした。

    • 山本社長

      それを自分の言葉で銀行に伝えられたのは大きかったですね。以前は決算時しか数字を見ていなかった。それが、その頃には、銀行に毎月試算表を報告して、売上が増えた理由・経費削減予定・着地予想など、自信を持って話せるようになったんですよね。

    • 出町

      経理も大変でしたよね。毎月正しい収支を出すため、売上や原価を細かく分けたり、棚卸も毎月実施するようになって。単月黒字化したことはもちろんですが、地道な積み上げで、“この会社は変わった”と思われたからこそ、好条件での融資につながったと思います。

  5. 支える中で気付いた、
    この仕事の意義と自分の成長。

    • 出町

      新工場の着工を見に行ったときは感慨深かったですね。自分の仕事が数字だけじゃなく、世の中を動かしているんだと感じて…。大きな柱を見上げながら、思わず写真も撮りました。

    • 山本社長

      まだまだ、楽しくなるのは今からだけどね!(笑)

    • 出町

      そうですね(笑)もう一つ忘れられないのは社長が落ち込んでいた時です。面談のあと「話したらやる気が出たわ」と言っていただいて、精神面でも支えになれたと感じました。

    • 山本社長

      ああ、凹んどった時があったね。「ごめん、この1カ月、何もやれてない。」って。

    • 出町

      まずは話を聞いて、これまでの積み重ねや、描いている計画を一緒に振り返ったんです。すると自然と社長が前を向いて終われたのを、よく覚えています。

    • 山本社長

      その日は子どもと一緒に焼肉も行ったよね(笑)。

    • 出町

      そうでしたね(笑)税務と違って、財務コンサルには正解がない中、言葉を選び、気持ちに寄り添い、社長と共に考えていく。緊張感はありましたが、その分やりがいと成長を感じます。

    • 山本社長

      会社の中身まで覗いて、成長していく姿を見られるーそんな仕事、他にないよね。

    • 出町

      本当にそう思います。インターンに飛び込んだ自分に伝えたいですね。「この道は正解だったよ」って。

  6. 数字を武器に、未来へ挑み続ける

    • 出町

      最初の頃、社長に数字を説明しても慣れない様子で、アレルギーに近い反応を感じました。でも今では、面談で社長の方から「ここの数字が良くなった」と楽しそうに話してくださいますよね。

    • 山本社長

      これまで勢いだけで進んできましたが、今は数字を見て「これなら進んでいい」と判断できる。続けていけば、経営の精度はさらに上がると思います。出町君がいてくれたおかげです。

    • 出町

      これからも意思決定を支えていきたいですね。5か年計画を作った時、「5年後も一緒にいてくれるんだよね?」と言っていただけたのが本当に嬉しくて。社長が描く未来を一緒に見たいですし、何より、「意思決定に不安のない状態」で挑戦に臨めるように、これからもご支援したいです。

    • 山本社長

      新工場が「また手狭になったね」と言えるほど成長させたいですし、飲食や輸出など新規事業にも挑戦しています。これからも継続して支えてほしいですね。

※当記事は特別な許可を得て撮影しています

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