経営支援型 税理士事務所  税理士法人ブラザシップ

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2020.04.07

【経営コラム】会計事務所の明るい未来

弊社代表松原が会計人向けニュースメディア「KaikeiZine」にて連載をしているコラムを掲載しております。


新型コロナウィルスが猛威を振るいパンデミックとなった。先行き不透明であり、世界的に株価が暴落している。日本においても個人消費や企業の事業活動が消極的となり、顧問先にも影響が出始めている。ウィルス自体は数か月もすれば沈静化するのだろうが、二次被害が懸念される。

東京オリンピック後の景気落ち込みを不安視する声はあったが、まさかオリンピック自体の開催が危ぶまれるとは想定外であった。大手証券会社の試算によると東京オリンピックが中止になった場合の経済損失は7.8兆円と途方もない金額である。一刻も早く正常化することを心から願う。

このような中、全国の経営支援型会計事務所の先生がチャット上に集結し、緊急支援融資や補助金助成金の情報、顧問先に対して何が出来るかなどの情報交換が始まった。あらためて会計事務所業界の意識の高さ、存在意義を感じることが出来た。

2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授が発表した「10年後になくなる仕事」に、税務申告書代行者、簿記会計監査の事務員が含まれている。また税理士試験受験者は2009年の74千人から2019年の41千人と10年間で約45%も減少している。会計事務所から一般事業会社の経理等に転職する人も多いと聞いている。

本当に会計事務所業界は将来無くなってしまうのか。
本当に税理士の仕事は魅力がないのだろうか。

私は、全くそうは思わない。会計事務所の未来はとても明るく、ワクワクして仕方がない。私は前職で10年間ベンチャーキャピタリストとして、様々な業界を俯瞰して分析してきたが、会計事務所業界ほど恵まれている業界はないと感じている。今までの会計事務所業界の先生たちに尊敬の念と感謝の気持ちでいっぱいである。もっともダーウィンの進化論の通り、変化するものだけが生き残る。会計事務所も変化が必要である。

現在のビジネスモデルの潮流はサブスクリプションである。Amazon, Spotify, Netflix, Microsoft, Salesforceなどたくさんの良質なサービスが生まれている。私は、会計事務所のビジネスモデルはサブスクリプションになり得ると考える。ここでいうサブスクリプションとは、税務顧問契約による月額課金という単なる請求の形態のことを意味しているのではない。カスタマーサクセス、つまり顧問先を成功に導くことが会計事務所の本質的な仕事であると私は捉えている。

税務顧問契約により顧問先との継続的な接点を持つことが出来る。しかも機密情報である財務数値を把握することが出来る。経営の結果は、最後は財務情報に表れる。逆に財務情報を分析すれば、経営課題のポイントを概ね把握することが出来る。経営課題が分かれば、課題解決に必要な支援を提案することが出来る。提案が受け入れられれば追加の報酬を得ることが出来る(クロスセル)。そしてその結果、顧問先の業績が上がれば顧問料を増額することが出来る(アップセル)。満足度が高まれば紹介が生まれ、顧客獲得コストが下がる。顧問先が良くなれば良くなるほど顧客生涯価値が高まり、私たち会計事務所も潤う。真のwin-winの関係性が構築出来る。

カスタマーサクセスは客単価で計ることが出来る。税務顧問契約はあくまでサブスクリプションの入り口にすぎず、顧問先の成功に必要な支援を継続的に行う必要がある。例えば私たち税理士法人ブラザシップでは、創業支援、税務顧問、資金調達支援、クラウド会計導入支援、予実管理支援、中期経営計画策定支援、ビジネスマッチング、財務をベースにした経営者向けコーチング、会議活性化支援、M&A支援、IPO支援、事業承継支援、と顧問先の成長に合わせて様々なサービスラインナップを揃えている。顧問先の成功のためには何が必要か、という視点で新しいサービスを毎年リリースしている。私たちの税務顧問報酬は安くはないが高くもない。しかしながら、客単価は一般的な会計事務所の水準を大きく上回っている。それに見合うように、私たちの顧問先は成長性や黒字化率が非常に高い。そして働く従業員の給与水準も高く維持できている。

サブスクリプションが成り立つためには、低い解約率(高い継続率)が必要であるが、税制改正は国策であり毎年行われる。中小企業経営者が毎年税制改正を自ら適切にキャッチアップしていくには難易度が高く、ほとんどの中小企業が会計事務所と顧問契約を結ぶことになる。いったん顧問契約を結び、かつ満足度の高い支援を続けていれば解約されるリスクは限りなくゼロに近づく。実際に私たちの事務所で税務顧問契約の解約は稀である。

現状財務情報が見られる立場にあるのは、会計事務所か銀行しかないであろう。中小企業経営者にとって銀行に全てをオープンにして相談することは、よほど財務状況が良い会社に限られるのでないかと考える。一方で会計事務所は、中小企業経営者の一番身近な存在である。弁護士でも社会保険労務士でも司法書士でも行政書士でもなく、税理士こそが中小企業経営者の継続的なパートナーになりうると私は考える。

会計事務所業界の活性化が中小企業の成功に繋がり、ひいては日本経済の発展に寄与する。こんな時代だからこそ、私たち会計事務所業界は明るいビジョンを持ち、中小企業経営者に安心と感動を届けていきたいと思う。

 


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税理士法人Brothership代表 松原潤の経営コラム

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