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2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授が発表した「10年後になくなる仕事」に、税務申告書代行者、簿記会計監査の事務員が含まれています。また税理士試験受験者は2009年の74千人から2019年の41千人と10年間で約45%も減少しています。転職エージェントからは、会計事務所から一般事業会社の経理等に転職する人が多いとも聞いています。
本当に会計事務所業界は将来無くなってしまうのでしょうか?税理士の仕事は魅力がないのでしょうか?
私は、全くそうは思いません。会計事務所の未来はとても明るく、無限の可能性があると感じています。私は前職10年間、ベンチャーキャピタルで働いていました。30億円を大企業、金融機関、国から預かり、日本全国のベンチャー企業の上場を支援してきました。投資すべき企業をみつけるために、様々な業界を俯瞰して分析してきました。その視点で見ると、会計事務所ほど恵まれている業界はないと感じています。ベンチャーキャピタルの仕事はとっても刺激的でしたが、会計事務所の仕事はそれ以上に面白いと思っています。
ただし、ダーウィンの進化論の通り、変化するものだけが生き残ります。私たち会計事務所も時代に合わせた変化が求められます。ただ税務申告書を代行して作成しているだけでは、今後AIに置き換わっていくでしょう。今私たちに求められているのは、「カスタマーサクセス」、つまり顧問先を成功に導くことと考えています。
現在のビジネスモデルのトレンドはサブスクリプションです。私もアマゾンプライム, スポティファイ, ネットフリックス、ニューズピックスなどたくさんのサブスクリプションを利用しています。
私は、会計事務所のビジネスモデルをサブスクリプションと捉えています。これは、税務顧問契約による月額課金という単なる請求形態を意味しているのではありません。サブスクリプションは、カスタマーサクセスが伴って初めて成立します。従前の税務顧問業務に加えて、経営まで踏み込んで支援を行い、顧問先の理念やビジョンを叶えることに貢献すること、これが今後会計事務所に求められると考えています。
税務顧問契約を結ぶと、顧問先の財務数値を把握することが出来ます。経営の結果は、最終的には財務情報に表れます。逆に財務情報を分析すれば、経営課題のポイントを概ね把握することが出来ます。経営課題が分かれば、課題解決に必要な支援を提案することが出来ます。成約すれば追加の報酬をいただくことが出来ます(クロスセル)。そしてその結果、顧問先の業績が上がれば顧問料を増額することが出来ます(アップセル)。顧客満足度が高まればご紹介をいただくことができ、顧客獲得コスト(CAC)が下がります。顧問先が良くなれば良くなるほど顧客生涯価値(LTV)が高まり、私たち会計事務所も潤います。真のwin-winの関係性ができるのです。
実際に税理士法人ブラザシップでは、税務顧問だけでなく、創業支援、資金調達支援、クラウド会計導入支援、予実管理支援、中期経営計画策定支援、経営者向け集合研修、ビジネスマッチング、財務をベースにした経営者向けコーチング、会議活性化支援、M&A支援、IPO支援、事業承継支援、と顧問先の成長に合わせて様々なサービスラインナップを揃えています。顧問先の成功のためには何が必要か、という視点で新しいサービスを毎年リリースしています。
その成果として、私たちの顧問先は成長性や黒字化率が非常に高いです。倒産廃業はほとんどなく、税務顧問の解約も稀です。そして働く従業員の給与水準も高く維持できています。
Brothershipという名前は、お客様と兄弟のような信頼関係を築いていきたい、お客様と同じ船に乗る気持ちで支援をしたい、という意味が込められています。私たちは、中小企業経営者の真のパートナーを目指しています。
(松原潤)
(このコラムは会計業界のメディアサイトkaikeizineに連載しているコラムを加筆修正しています)
参考リンク