人気記事ランキング
-
経営ノウハウ
2021.06.15
中小企業の経営会議のあるべき姿
-
経営ノウハウ
2022.12.28
売上1億円を超えた社長が陥りがちな失敗事例とその対策
-
クラウド会計
2021.05.24
中小企業のDX化と会計事務所の役割
経営ノウハウ
2021.06.15
6,974 views
中小企業において経営会議に課題を感じている経営者の方は多いのではないかと思います。
などなど。
他にもさまざまな課題が考えられますが、結局経営会議を開く意味がなくなっているような会社もあります。
それでは、どのように経営会議を改善したらいいのでしょうか?
目次
そもそも経営会議は何のために開催されるのでしょうか?経営会議の機能と目的は下記が代表的なものとして挙げられます。
つまり、経営会議は経営管理機能(PDCAサイクル)における現状分析と計画見直し(CとA)の機能を発揮するために行うものといえます。
経営会議は経営管理機能の一部を担うものであり、そもそも計画(P)が期初に策定されていなければ経営会議の機能のほとんどが発揮されません。
中小企業においては、経営管理機能が不足していることが多く、経営計画がしっかりと作成されている会社は少ないように思います。
これでは、目標設定も明確でないですから、予実分析もできず、客観的な根拠に基づく全社的な課題の提示もできないでしょう。
また、組織風土によっては、社員が積極的に発言できない空気がある場合もあります。社長が社員をしかりつけるような時間になっている会議も多いのではないかと思います。
これでは、意味がないどころか社員のモチベーションは下がり、退職者が増えるなどの悪影響が出てしまうでしょう。
ボトムアップで意見が言える風通しのいい組織風土がないと経営会議の活性化も難しくなります。
上記のような課題に対処するには、少し時間がかかります。しかし、経営会議は全社員で課題を共有し全社一丸となれる機会でもあります。すぐに効果が出るような改善策はないのかと思われると思います。
そこで、すぐに対処でき、効果的な会議にするための手法をいくつかご紹介します。
それぞれ詳しく見ていきます。
経営会議で何を報告し議論するのか、会議の前にあらかじめ決めておく必要があります。
中小企業では、議題がないか抽象的な議題の会議が行われることがよく行われます。このような場合には、会議の目的が明確でなくなり、最終的に何を話しあうために集まったのかわからなくなって、社長が言いたいことを言っているだけという会議なってしまうことが多いです。
タイムスケジュールがあることも大変重要です。
議題が複数ある場合、前半の議題だけで会議の時間が終わり、残りの議題が話合われないことがあります。
重要な議題が検討されず、次回に持ち越しになり経営意思決定が遅れることも考えられます。
そもそも、議題が厳選されず時間内では到底議論することができない量になっている可能性もあります。
こうしたことは、当たり前だと思われる方も多いかと思いますが、中小企業の会議では順守されていることが少ないように思います。
会議を円滑に進めるために、議長は重要な役割を担います。
ファシリテーターの役割になりますが、難易度が高いため中小企業では社長が議長を行うことも多いと思います。しかし、社長が議長を行うと、ほとんどの会社で空気が張り詰めてしまい、自由な意見が出にくくなります。
これは、たとえ社員との関係性が良い社長であっても同じことが言えます。社員から見たら、社長が議長をしているだけで会議での意見がジャッジされているように感じ、意見を出しづらいのだと思います。
また、社長が自分の意見を延々と話してしまう恐れもあります。
話が長くなり、時間がかかってしまうことも多く、社員の自由な意見交換を阻みます。そもそも、議長は自分の意見を言う役割ではなく、ファシリテーターの役割、議事進行と議論の活性化を図る役割を担う存在です。
社長は議長には不向きであるといえるでしょう。
社員が持ち回りで議長を行うことで、会議への参加意識も高まります。持ち回りであれば負担も少ないですし、議長の気持ちがわかるので、上手くできなくてもみんなで支えあいながら議事進行を行う空気が生まれます。
会議中は闊達に意見が出るように、柔らかい雰囲気を作る必要があります。しかし、緩くなりすぎるのはよくありません。
経営上、大変重要な時間ですから、真剣に取り組む空気も必要です。そこで、規律を保つための仕組みも用意したほうがいいです。
一つは、グラウンドルールを設定することです。会議のルールであり、会議の前に参加者全員で唱和するなど、徹底するための仕組みも必要です。弊社では下記のグラウンドルールを設定しています。
以上です。参考にしてみてください。
もう一つはタイムキーパーの設置です。
時間厳守で議事を進めていかないと、議題をすべて検討することができなくなります。規律を持った議事進行をするために、タイムキーパーは大変重要な役割を担います。
しかし、中小企業の会議でタイムキーパーを用意しているところは、大変珍しいと思います。すぐに取り組めることなので、ぜひ試していただきたいと思います。
せっかく会議でいい議論がされても、議事録が作成されていなければ記録が残らず、いずれ議論は風化されます。
議事録を作成する書記を持ち回りで社員が行うのがいいと思います。
書記が会議の最後に、誰が、何を、いつまでに、何の目的で、どうやって行うのか、決議事項を確認すると実行のコミットメントが確実に得られます。
次回会議の冒頭で、前回決議事項の進捗報告をすることも重要です。
実際に実行してみた結果で、さらに議論が必要になる場合もあります。経営会議では、重要な課題が議題に上がります。
しっかり最後まで結果を追いかける必要があります。
こちらも、当たり前のことではありますが、決議はしたもののそのあと実行されずに言いっぱなしになっている会議は多いと思います。
その後、どうなったのかの確認もない場合も多くあります。
これでは、課題が解決されることはなく、経営会議が意味のないものになってしまいかねません。
経営会議はそもそもしっかりとした経営計画が策定され、会社の目的・目標、その達成のための戦略が明らかになっていないと、効果が半減してしまいます。
少し時間はかかりますが、しっかりとした経営計画を作られるといいでしょう。
会計事務所では経営計画を支援してくれるところもあります(参照:コラム「会計事務所の選び方」)。そういった事務所にご相談されることをお勧めします。
また、上記1~4で挙げたことを徹底されるだけで、会議のクオリティは格段に上がります。どれも取り入れるのはそれほど難しいものではありません。ぜひ試してみてください。
経営会議以外にも、さまざまな会議が開かれていると思います。重要な会議もあると思いますが、中には何のために開いているのかわからないものもあるのではないかと思います。また、会議の内容が重複していたり、社長の都合で定例開催できていない会議もあるのではないでしょうか。
会議の数は放っておっくと無尽蔵に増えていきます。必要最小限にとどめるようにコントロールする必要があります。
また、より効果的にするために、経営会議と同様、他の会議についても上記で挙げた事項を順守することをお勧めします。
まずは、公式非公式問わず、現在開かれている会議を整理し、不必要な会議を止め、それぞれ目的を明確にして実施するようにするといいと思います。
参考までに、弊社では下記のように会議を整理しています。
経営会議は会社の経営管理体制において重要な役割を担います。
本質的には、経営管理機能全体の活性化をもって経営会議の活性化を図るべきですが、上記で挙げたようなすぐに効果の出る改善策については、ぜひ取り組んでいただきたいです。
弊社では、既存のお客様向けに弊社の会議をご見学いただく「会議見学会」を実施しています。
毎回たくさんの方々に見学いただき、大変ご好評をいただいています。しかし、弊社の会議は、何か特別なことをしているわけでも、大きな声を出して活気づけるような目立つことをしているわけでもありません。当たり前にすべきことを徹底して行っているだけです。
それでも、先日は上場企業の経営者の方が来られて、「素晴らしい会議だ。ぜひ参考にしたい」とおっしゃっていました。
どんな会社であっても、当たり前のことがなかなか徹底できていないのだと思います。
中小企業において、会議体はその重要性に比してあまり注目されることがなく、漫然と実施され、改善されるような取り組みもあまりなされていません。
経営会議を含め、一度会議全体を整理し、改善に取り組んでみてください。思った以上の成果が出ると思います。