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代表コラム

中小企業経営者の「学び直し」は会社を強くする!

2021.06.22

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「学び直し(リスキリング)」と生産性には一定の相関関係があると言われています。OECDのデータからも下記表1にある通り、仕事関連の再教育への参加率が高い国ほど労働生産性が高いことがわかります。

表1:OECDデータから見た労働生産性と再教育の関連(日本経済新聞より)

表1では、日本は他の先進国に比べ、「学び直し」が進まず生産性が低くなっていることがわかります。DX化が加速する中、特にITスキルを身に付ける必要性が高まっていますが、日本ではこの分野の再教育が追い付いていないといえるかもしれません。

中小企業経営者こそ学び直す必要がある

中小企業経営者も同じように「学び直し」が必要な時代なのだと思います。
むしろ、一般のサラリーマンの方よりも中小企業経営者が学ぶ重要性は増していると思います。これだけ時代の変化が激しく、つい最近まで常識だったことが通らなくなる、といったことも珍しくないでしょう。

「とにかく目の前のことを一生懸命頑張っていれば、何とかなるはずだ」

多くの経営者にとって厳しい環境が続いています。確かに、何も考えずに今できることを一所懸命にやるしかないという状況の会社も多いと思います。
しかし、それだけで本当にいいのでしょうか?
コロナはいつか終息すると思いますが、テクノロジーの進化や人口減、エネルギー問題や環境問題は終息することはないでしょう。様々な分野での環境変化は、今後も継続して加速度的に起こり続けると考えたほうがいいと思います。
このような激しい環境変化を前提とすると、ただ目の前のことを頑張るだけでなく、先回りして変化を読み、事前に対処していく必要があります。また、大きく時代が変わる時というのは、既得権が破壊され新しいビジネスが起こる時代でもあります。この流れに乗るには小回りの利く中小企業は有利ではないかと思います。

それでは変化に対応するにはどうすればいいのでしょうか?
それは、学び続けることだと思います。つまり、情報を取り続けることです。どのような変化が今後起こるのか、先を読むには情報が必要です。また、どれだけ環境が変化しても、普遍的に守らなければならない原理原則を知り、経営に活かすことで、変化に強い会社を作ることができます。
中小企業は特に、環境変化に対応できなければ経営を続けることは難しくなります。今までの常識を精査し、変化に対応するために必要な情報を得るために「学び直し」は急務であると思います。

どのような学びが必要か?

中小企業経営者が「学び直し」の必要があるとして、どのようなことを学べばいいのでしょうか?上記で記載したおとり、大きく分けると2つあると思います。

  1. 経営の真理、原理原則について改めて学ぶ
  2. 新しい考え方、テクノロジーや経営手法について学ぶ

それぞれ見ていきたいと思います。

1.経営の真理、原理原則について改めて学ぶ

どのような時代になっても、変わらない真理はあります。経営においても先人たちがこの真理、原理原則を様々な格言や書籍に残してくれています。
これらを学び経営に活かすことはどんな時代であっても重要なことです。
経営の真理を解いている書籍を自分なりに挙げてみました。参考にしてください。

  • 「道をひらく」 松下幸之助 著
    昭和43年の発刊以来、累計400万部を超え、いまなお読み継がれる驚異のロングセラーです。事業の成功者であり、それ以上に人生の成功者である松下幸之助であればこそ、その言葉には千鈞の重みがある。あらゆる年代、職種の人に役立つ、永遠の座右の書であると思います。


  • 「京セラフィロソフィー」 稲盛和夫 著
    京セラ、KDDIの創業、JALの再建と、次々と世界的大企業を発展に導いてきた当代随一の経営者である稲盛氏がその人生哲学の真髄ともいうべきものを書き記した書籍です。京セラ内部と、著者が主宰する経営塾「盛和塾」でしか読むことのできなかった“門外不出の書”を一般公開したものであり、経営者からビジネスパーソン、教育者、学生、主婦の方まで、あらゆる立場の人にとって、人生における指針、仕事における道標となる考え方が満載されています。


  • 「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー 著
    変化の速い時代だからこそ、ブレない「人生の軸」として読み続けられている本です。副題にもある「人格主義」の土台となるのが、時代を通して変わらない軸となる原理原則です。
    コヴィー博士は、時代が変われば「7つの習慣」も変わるのかという問いに対して、いや、これは原理原則なので、時代が変わるからこそ、逆に変わらない軸となり支えとなっていくと答えられています。


  • 「成功哲学」ナポレオン・ヒル 著
    1937年、初版が出版された世界的ベストセラー名著の中の名著と呼ばれ、セールスパーソン、ビジネスパーソンにとって、成功を手に入れるための必読書と言われている。

そのほかにも多くの書籍がありますが、これぐらいにしておきます。一つ一つが至極の1冊であり、経営者であれば必ず読んでおきたい書籍ばかりです。

2.新しい考え方、テクノロジーや経営手法について学ぶ

環境変化に対応するためには、原理原則から外れない経営をすることが重要です。しかし、具体的な戦略を立案するためには、新しい考え方や技術、テクノロジーについて情報をキャッチアップし続けることが重要です。

これらの情報は多岐にわたるため、定期的にキャッチアップする情報源を決めておくほうがいいでしょう。新聞定期刊行物だけでなく、YouTubeやTwitterなどのSNSも貴重な情報源です。ただし、自分が得たい情報のアンテナを立てておかないと、情報が多すぎて重要な情報をキャッチアップすることが難しくなります。状況に応じてほしい情報を決めておくといいと思います。

また、原理原則を学ぶのと同様、書籍も重要な情報源です。こちらは具体的な書籍をご紹介するには数が多すぎるため控えますが、定期的に本屋さんに出向いて平置きされている書籍を数冊購入することをお勧めします。今、何が注目され、どんな情報を得たいと思っている人が多いのか、トピックになっていることはどんなことなのかがよくわかります。

激しい環境変化に対応するためには、経営者は適時に決断をしていかなければなりません。この決断を支えるのは良質な情報です。上記を踏まえ、良質な情報源から必要な情報を適時に取れる仕組みを作ることが重要だと思います。

経営者の学びの場が必要

私たちは財務会計の専門家ですが、残念ながら中小企業経営者はこの分野の学びをほとんどしていません。もともと財務会計の専門家が起業して経営者になることは珍しく(私たちの業界は別として)、経営者になった後も財務会計を学ぶ場はありません。
もちろん、大学院や専門学校で会計を学ぶことはできると思いますが、わざわざそこまでして学んでいる経営者は少ないでしょうし、そのような場所で学べる会計はアカデミックで実務よりではありません。
しかし、財務会計はとても重要な経営スキルです。環境変化が激しい昨今においては、学ぶ優先順位はかなり高くなっていると思います(コラム「会計に強い会社は業績がいい!?」参照)。

私たちは、「Brothership College」というコミュニティを展開していますが、これは中小企業経営者が財務を学ぶ場を作るためのサービスです。
このような中小企業経営者が学び直す場はまだまだ少ないように思います。先ほど述べたように、大学院などはアカデミックすぎるので中小企業には合わないと思いますし、たくさんの経営者団体がありますが、仲間を作ることに主眼が置かれ、経営に関する良質な学びの場になっている団体は少ないように思います。
中小企業経営者が学び直すには、各分野の専門家が良質な学びの場を作る必要があると思います。私たちの試みも学びの場の提供になればうれしく思います。

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