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会社設立

起業する時に必ず知っておくべき5つのこと

2021.07.27

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税理士法人ブラザシップでは毎年数十件の創業支援を行っています。国の施策やITの発達により、起業をすることは以前よりもずっと簡単になりました。しかしながら、事業を立ち上げて継続していくことはなかなか難しいものです。

そこで今回のコラムは、起業する時に必ず知っておくべき5つのことをお伝えします。

1.自己資金が少ない状態で事業を始めない

これが最も重要なことです。事業が立ち上がらないほぼ全ての人に共通している失敗要因です。

起業時は夢でいっぱいになり、成功することしか考えられなくなってきます。失敗すると思って起業するわけはないので、それは当然です。

しかしながら、事業は思い通りにいかないことの連続です。思ったより売れない、外注の開発が遅れる、当てにしていた社員が辞めてしまう、など自分にはコントロールできないことが多々勃発します。起業時には知らなかっただけで競合他社がいた、いなかったとしてもすぐに参入して価格競争してくる可能性もあるでしょう。

実際に、半年くらい立ち上げが遅れるのはザラにあります。そんな時に、自己資金がある程度ないとすぐに行き詰ってしまいます。これは非常にもったいないことです。

また、自己資金が足りないと金融機関からの調達も難しくなります。事業に必要な資金を全額借入で賄おうとするのは、金融機関からすると図々しく社長もリスクを取るべきと考え、ある程度の自己資金の準備を求められます。日本政策金融公庫の創業融資でも、表面上は自己資金は必要資金の10分の1以上となっていますが、実質的には3分の1は欲しいところです。

金融機関の立場になってみると、自己資金は起業家の本気度を測るバロメーターといえます。事業に本気であればコツコツ資金を貯めてきたはずであり、思いつきで起業していないかを判断する材料になるわけです。

自己資金が少ない人の事業が立ち上がらない比率は非常に高いです。行う事業内容で当然変わってきますが、一般的にいえば最低300万円くらいの自己資金は欲しいところです。

2.早めに借り入れをする

自己資金だけで賄える小規模な事業をするならば別ですが、預金残高をある程度保ちながら安心して経営をするためには、金融機関から借入することが必要になります。お金が必要になってから借入に行けばと考えがちですが、早めに借入をすることが創業時の鉄則です。

事業が始まって実績がでると、金融機関は実績を評価せざるを得なくなります。この時うまくいっていれば良いですが、うまくいってない場合や悪くなってから借りに行っても遅いのです。金融機関もビジネスをしている以上、悪い経営状態=融資をしても回収可能性が低いと判断されるところには貸せないのです。

一方で計画しかない時には、計画を基に審査してくれます。そのため、会社設立から遅くとも半年以内には、金融機関からの借入を済ませておきたいところです。

金融機関から借入するうえでの形式的な留意点ですが、バーチャルオフィスはNGです。シェアオフィスでも個室があることが望ましいといわれます。何かあった時に社長がどこにいるか分からないのは困る、現地に行って現状をつかめることが大事だと金融機関は考えるのです。

また、合同会社も避けたいです。設立コストが安く済むなど、新しい仕組みとして合同会社は法律上認められています。しかしながら、金融機関の体質はまだまだ古く、なぜ株式会社じゃないのかと考えます。同様に、資本金1円も法律では認められていますが、金融機関からみるとネガティブに映ります。複数の金融機関の担当者から聞いていますので、これが今の現実だと思います。

定款の事業目的に、本業以外に飲食業、イベント業、人材派遣業、不動産業、コンサル業など、何でもかんでも入れることもやめておきましょう。資源が足りない創業時には、一つの事業に選択と集中をすることが成功の近道です。金融機関からみても節操がなく本業に集中してないのかと疑ってみられます。特に、投資事業や仮想通貨事業が入っているだけで話すら聞いてもらえなかった金融機関もあります。

3.事業計画を必ず立てる

事業計画は、資金調達する際に金融機関から提出を求められるから作るものではありません。自分の事業が成り立つかを検証するために作るものです。

計画時に成り立たないものは、実際の事業でも成り立たない可能性が高いです。計画時に曖昧にしたところ、詰まりそうなだなと思ったところで必ず現実も行き詰まります。

売上は少なめかつ遅めに、費用は多めかつ早めに計上した保守的な計画でも成り立つように、計画を磨き上げていきます。このプロセスに価値があるのです。

4.株式は社長に集中する

議決権で最も重要な比率は過半数(50%超)です。過半数あれば、取締役の選任や解任、決算の承認、配当決議など、会社の重要な意思決定ができます。そして、社長の株式比率は増資によって薄まることはあっても濃くなることはほぼありません。

そのため設立時の社長の株式保有割合は重要です。しかしながら、友人含む数名で均等に出資し社長の議決権比率が過半数無い場合や、100%他人に出資してもらうケースがあります。

実際に私たちの事務所でも、100%投資家に出資してもらい、事業が軌道に乗った段階で社長を解任されてしまった方からの相談があります。私たちの事務所だけで年間何件かあるので、社会全体ではかなりの数があるのでしょう。

「軌道に乗ったら株を譲ってあげるよ」、「とりあえずお金出してあげるから事業やってみなよ」なんていう甘い罠にひっかかってはいけません。これらはエンジェル投資家という皮をかぶった悪魔です。

会社法上株主が一番権限があるので、出来るだけ株式は社長に集めておきましょう。

5.顧問税理士選びで大きく未来は変わる

青色申告承認申請書を業務を開始してから2か月以内に税務署に提出しましょう。赤字を来期に持ち越せるなど、税務上のメリットがたくさんあります。

決算月は、3月にする必要はありません。消費税2期間免税の優遇を最大限活用するために、設立から1年後を決算月にすることが多いです。また、公的機関向け事業だと3月に売上が多く立つなど、季節変動を考慮する必要があります。決算月が終わってみないと、売上や利益の着地見込みが立たないとなると、節税対策や金融機関対策を事前に行うことが難しくなります。

個人の支出と法人の支出は明確に分けましょう。経理が複雑になりますし、なにより事業が儲かっているか否かが社長自身分からなくなっていまいます。法人のクレジットカードを作って、クラウド会計でデータ連携することがオススメです。

個人事業主の場合は確定申告を自力でできる場合も多くありますが、法人の決算は、とたんに難しくなります。法人化して本格的に事業を成長させていくならば、早い段階で顧問税理士をつけましょう。コストはかかりますが、それを上回るメリットがあれば良いわけです。

顧問税理士は経営を良くするパートナーであり、社長が一番身近に相談できる相手です。顧問税理士をどこにするかで大きく未来は変わります。相性の良いパートナーを探し、ぜひ事業を軌道に乗せてください!

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