経営支援型 税理士事務所  税理士法人ブラザシップ

ブラザシップコラム Brothership Column

経営ノウハウ

会計事務所が提供するコンサルティングは効果的か?

2021.06.03

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会計事務所の基軸業務は、税務・会計業務です。コンサルティング業務は本来専門業務ではなく、税理士の資格試験の内容を見ても「経営学」等の経営に関する科目はありません。
しかし、昨今ではコンサルティングサービスを謳う会計事務所は増えてきているように思います。
実際のところ、会計事務所にコンサルティングはできるのでしょうか?
これは見解が分かれるかもしれませんが、私たちは「財務・会計を軸にした経営管理コンサルティング」を中小企業にご提供するということであれば、会計事務所ほどコンサルティングに向いている業種はないのではないかと考えています。

コンサルティングの種類

そもそもコンサルティングにはどのような種類があるのでしょうか?
様々な区分の仕方がありますが、ここでは「業種」と「テーマ」で区分する方法で整理してみます。

図1:業種、テーマによるコンサルティングの区分

大手コンサルティング会社が提供するような総合コンサルは上記区分のすべてをコンサルティングの対象にします。これに対し、特定の業種に特化したコンサルティングを業種特化型コンサルティングといい、特定のテーマに特化したコンサルティングをテーマ特化型コンサルティングといいます。
会計事務所が行うべきコンサルティングは、図1にあるようにテーマ特化型コンサルのうち「経営管理特化型コンサル」です。

会計事務所が提供する経営管理特化型コンサルとは?

会計事務所がご提供するコンサルティングサービスの対象は中小企業です。
そもそも中小企業では、経営管理がどのようになされているのでしょうか?
会社によるとは思いますが、一般的にはきちんとした経営計画もなく、目標管理ができていない事が多いように思います。結果として、機会損失が発生し、経営に苦しんでいる会社も多くあります。
会計事務所が行うコンサルティングは、このような会社に、「計画」「実施」「見直し」という経営管理の基本の仕組みを提供し、「定着」してもらうことで機会損失を低減し成果を出すコンサルティングです。
大手コンサルティング会社が提供するような総合コンサルは、敷居が高く料金も高いイメージがあると思います。実際にかなり時間をかけて市場調査等を行い、業界にないような新しい戦略を立案するようなサービスで報酬も高めです。そのようなサービスは中小企業で必要かと言われると、過剰サービスでありマッチしないのではないかと思います。会計事務所が提供する経営管理特化型コンサルは、あくまで経営管理の部分のみを手当するものであり、解決策としての戦略や行動計画は社長と一緒に考えていきます。総合コンサルと比べると答えをもらえるようなサービスではありませんが、共に答えを導きだすことができます。思いの強い中小企業経営者にはとてもマッチするサービスではないかと思います。個人的には、経営管理特化型コンサルは全ての中小企業が導入してもいいのではないかと考えています。

会計事務所の強みとコンサルティングサービス

会計事務所の強みは、「財務会計の専門家である」ということです。医師がレントゲンを使って体の不調箇所を診断するように、決算書を詳細に分析することで会社の課題を明らかにできます。
(詳細はコラム「会計に強い会社は業績がいい!?」https://www.brothership.co.jp/column/2021/05/column-1211/
この強みを使うことでお客様の経営管理体制を改善し、機会損失を低減することができます。

ある老舗製造業のお客様の事例

経営管理のコンサルティングとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
ある創業古い老舗製造業でのお話です。
そのお客様は創業70年以上の会社で、経営者は3代目、私たちと出会ったときには事業承継をして5年ほどが経過していました。先代の時から少しずつ売上が下がり、事業承継後はさらに規模が縮小していました。現社長は日々現場の仕事に追われながら頑張っていましたが、受注減は止まらず赤字が続いていました。大口の得意先が内製化を徐々に進めていたことが原因でした。

このような状況の中、私たちがまず実施したのは、課題点を整理することでした。決算書総勘定元帳(日々の会計データを記録した帳票)を紐解き、分析していく中で、会社規模の割に経費が多すぎることに気づきました。
創業長い会社ではコストの見直しが行われず無駄なコストを垂れ流していることがよくあります。この会社でもいくつもの無駄が発見されました。
例えば、駐車場の賃借料が月に10万円ほどかかっていたのですが、実は工場の敷地内に花壇があり、その花壇をつぶせば駐車場のスペースとしては十分な広さがありました。早速、駐車場を解約し、年間120万円の利益改善に成功しました。その他にもコスト改善を行い年間400万円近くの利益増に成功。コスト改善以外にも、財務分析の結果下記のような改善項目が見つかり、実行した結果、かかわらせていただいてから1年ほどで黒字転換をすることができました。

  • 設備稼働率から一定の時間帯で遊休している設備を見つけ、製造の順番や納期をコントロールすることで生産キャパを広げ、売上増につなげる
  • 外注比率が高かったため、生産性改善による内製化を進め原価低減に成功
  • 原価率同業他社比較により、材料仕入単価が高いことに気づき、相見積もりの実施により材料費率の低下に成功
  • 利益率が高い製品を洗い出し集中して営業展開。全体の利益率改善につなげる。

これらはすべて、私たちが財務分析を実施することで見えた課題を、社長と一緒に解決したことによって得られた成果です。
経営課題を財務会計の専門知識をもって洗い出し、その解決策を社長と一緒に考え、実行しながらPDCAサイクル(計画⇒実行⇒チェック⇒行動改善)を回していく
経営管理のコンサルティングとは、このような支援を行うサービスです。

中小企業にとって経営管理のコンサルティングは効果性が高い

上記の事例のように、中小企業においては、経営管理体制が整っていないことから、多大な機会損失が生じているケースを多く見ます。
簡単なことのように思いますが、自社の現状を財務会計の知識なく正確に把握することはとても難しいことであり、上記のような事例は珍しいことではありません
このような機会損失は、発生していることに気づきさえすれば回避できるものです。そして、経営管理体制が整えば、永続的にこのような機会損失を回避できる仕組みを社内に構築することができます。その効果は計り知れないものがあると思います。
会計事務所は、財務会計のプロ集団です。中小企業に対して経営管理のコンサルティングができるリソースを持っているのは会計事務所ぐらいではないかと思います。
最近では、コンサルティングサービスを提供している事務所も増えてきました。
弊社もそうですが、セカンドオピニオンとして入る事務所も多く、相談はしやすいと思います。
社内の経営管理体制に不安のある経営者の方は、このような会計事務所にご相談されてはいかがでしょうか?
経営管理のコンサルティングは、一般的に思われているような解決策を提示するコンサルティングではありません。課題の特定に財務会計という専門分野の技術は使いますが、解決策は経営者の能力を引き出すことで見出します。経営者に寄り添い、思いに共感し、同志のように一緒に乗り越えていくパートナーとしてサービスを提供します。まさに会計事務所が提供すべきサービスだと思います。

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